「光る君へ」道長とまひろの手紙のやりとりを追っていきます。SNSとのやりとりとは全く違う、紙に墨で和歌を書いて送る平安絵巻の世界観をもっと想像できるでしょう。
基本的に「光る君へ」に出てくる和歌は、もっと昔によまれた歌を引用していることが多い。その引用元をたどって、和歌を書いたときの気持ちを一緒に深掘りしてみませんか?
初めてもらった道長からの文「ちはやふる~」(第6回~)
道長がまひろに寄せた初めての和歌がこちらです。
道長「ちはやぶる 神のいがきも越えぬべし 恋しき人の見まくほしさに」
(越えてはならない神社の垣根を踏み越えてしまうほど、恋しいお前に会いたい)
この歌は、下記の平安初期の「伊勢物語」の有名な名歌が元になっていて、この歌をもらったまひろも当然そのことに気づいたでしょう。
「ちはやぶる 神の斎垣も越えぬべし 大宮人のみまくほしさに」
(越えてはならない神社の垣根を踏み越えてしまうほど、都人にお会いしたい)
斎宮の女房である女性が都から訪れた男性を見て、心の内を読んでいます。神社という神聖な場所に仕える女房が、禁忌を犯してでも垣根を越えて都人を見たいという気持ちと、道長のまひろに対する気持ちが抑えられない切ない気持ちがリンクしています。
さらに元をたどると万葉集にもこのような歌が残っていました。
「ちはやふる 神の斎垣も越えぬべし 今はわが名は 惜しけくも無し」
(越えてはならない神社の垣根を踏み越えてしまうほど、今は私の名前など惜しくはない)
万葉集は男性が読んだ歌ですが、この後の展開をみると道長は「藤原の名前は捨ててもよい」とこの時から決めていたのかもしれません。激しい想いが伝わってきます。
一方、まひろはこの歌に対して返事を書くことはありませんでした。偶然3人の貴公子たちの話を聞いてしまったまひろは、思うところがあったのでしょう。最終的には道長からの手紙を燃やしてしまうのでした。
道長の和歌とまひろの漢詩(第10回)
道長からまひろへの和歌はすべて最古の勅撰和歌集である古今和歌集を引用していました。一方、まひろは陶淵明の詩を引用しています。※美術展ナビ参照
道長「思ふには 忍ぶることぞ まけにける 色にはいでじと 思ひしものを」(そなたを恋しい気持ちを隠そうとしたが、俺にはできない)
まひろ「漢詩」(これまで心を体のしもべとしていたのだから、どうして1人くよくよ嘆き悲しむことがあろうか)
道長「死ぬる命 生きもやすると こころみに 玉の緒ばかり あはむといはなむ」(そなたが恋しくて死にそうな俺の命。そなたが少しでも会おうと言ってくれたら生き返るかもしれない)
まひろ「漢詩」(過ぎ去ったことは悔やんでも仕方がないけれど、これから先のことはいかようにもなる)
道長「命やは なにそは露の あだものを 逢ふにしかへば をしからなくに」(命とははかない露のようなものだ。そなたに会うことが出来るのなら命なんて少しも惜しくない)
まひろ「漢詩」(道に迷っていたとしても、それほど遠くまで来てはいない。今が正しくて昨日までの自分が間違っていたと気づいたのだから)
道長「我亦欲相見君」(我もまた君と相まみえんと欲す)
藤原行成の言うように、道長は恋する心を精一杯伝えているのに対し、まひろは志を伝えて自分の気持ちを抑えているような印象的なシーンでした。やりとりの最後で、道長はどのような志を伝えたかったのでしょうか?
まひろは世の中を俯瞰してみれる理性的な人だからこそ、一時的な恋する気持ちにはブレずに、まっすぐに自分の志を貫く強さがあるようでした。頭では理性的になれでも、恋する気持ちは止められない。だからこそ、満月の夜に結ばれた二人の美しい情景がいつまでも心に残るのでしょう。
道長とまひろ、両想いであるのにすれ違う二人の今後の関係がどう変わっていくのか、楽しみです。手紙のやりとりがあったら、また記事を更新しますね!
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